<この企業の評判>
接骨院は、保険診療を中心に行えば患者は増える。しかし、マッサージ感覚で来院する患者も多く、難しい施術にチャレンジするスタッフの向上心が育ちにくい上、診療報酬が徐々に引き下げられ、経営的に先細りするところも増えている。
そこで茂原しん接骨院では、交通事故によるけがの施術に特化することを考えた。理事である桑田氏自身、交通事故負傷者に多いむち打ちの治療が得意であり、比較的治療経験が多かった。また、痛みや苦痛で困っている患者を治癒に導くことにも大きなやりがいを感じていた。
自費診療メインにしたことで、料金が高い治療院だと敬遠され、交通事項専門というモデルも浸透せずに開業直後は厳しい状況が続いた。
しかし、交通事故の悩みに無料で相談に応じるNPO法人を設立したことで、事態は好転する。
交通事故のけがでは、身体の痛みや後遺症の不安だけではなく、保険会社との交渉や各種申請といったストレスが患者の大きな負担となり、治癒を遅らせている原因ともなっている。
治療だけではないサービスを提供するため、協力を得られる専門家を探し、弁護士、行政書士、修理工事、ディーラーなどから賛同を得ることに成功した。
<この代表の魅力>
理事である桑田氏は、相談は無料で行っている。まず接骨院のスタッフが患者の悩みを確認し、必要に応じて所属する弁護士や行政書士に引き継ぐ。こうして、接骨院を含め、法律、自動車、医療の3分野で交通事故負傷者の悩み相談を受け付ける仕組みを構築した。
専門性を絞ったことで、所属する施術士の技術向上が図りやすくなり、交通事故負傷者への強いアピールにもつながった。実際、相談業務を開始してから、接骨院の認知度は飛躍的に向上し、業界平均と比べても交通事故被害者の扱い、スタッフ1名あたりの売上は共に大幅に上回っている。
また、患者にとっては、相談によって知識を得ることができ、専門家の力を借りることで、賠償金や保険金の交渉もスムーズとなるため、安心して治療に専念することができる。
日本ではまだ欧米ほど代替治療が浸透していないものの、こういった地道な取り組みにより、『有益性を実感できるシステム』を体系化し、さらに専門性を高めたより良い医療を提供できるよう、桑田氏は今後も邁進していく。