<この企業の評判>
クッキーナッツ・スタジオは代表取締役である稲次氏の祖父の代から続く、夫婦で経営する写真館である。
もともとDPE・カメラ販売が中心の営業スタイルであったが、全国チェーン店の影響もあり、業績は悪化する一方であった。
そこで、お客様一人ひとりに寄り添う『One to Oneマーケティング』の概念を取り入れ、DPE・カメラ販売から撮影中心の業態に方向転換した。
現在は子どもの写真撮影を主力にしているが、業績を大きく伸ばすきっかけとなったのがロケーション撮影である。
以前の古いスタジオでは、子どもに怖がられることがあったため、近所の公園に行って撮影するスタイルを思いついたのだ。
この撮影スタイルが当たり、毎年初夏に行われる『ベビー&キッズキャンペーン』では、参加者が10倍以上に増加し、お客様の新規開拓に大きく貢献した。
以前はカメラ販売のウェイトが高かったが、スタジオ専業化による効果が表れ、年商、利益率ともに大きく改善している。
さらに、授乳・マタニティフォト専門店も展開し、子育て中の女性に大きな支持を得ている業界内でも先駆者的な写真館となっている。
<この社長の評判>
代表取締役である稲次氏は、日頃からスタッフに対し、「直接売上に結びつかない部分を大切にしよう」と話している。
お誕生日の歌のプレゼント、前回撮影したお客様の社員を貼ったダイレクトメール、撮影後のクッキーのおもてなしなど、ありきたりではない『サプライジング』な共感を示すことで、お客様との距離を一気に縮めることに成功している。
また、稲次氏はお客様の心を着実に満たしていくために、『一対一の取り組み』を重視している。そのためには細かいところまで把握した顧客管理が欠かせないが、思うように成果に結びつかなかった頃からこつこつと集積したデータベースが、いまでは経営するスタジオの大きな財産となっている。
最初はなかなか慣れずに入力するだけで時間がかかっていたが、日々蓄積されるお客様リストには、家族全員の生年月日も登録されている。そのため、季節ごと、イベントごとに効果的なダイレクトメールを送ることが可能になっており、このリストが、業績向上に大きな役割を果たしている。
現在、稲次氏はスタジオの経営に集中できるようスタッフの養成に力を入れつつ、『心のこもったお客様との関係づくり』を大切にし、新たな展開を狙っている。